コラム
今注目の野菜とそのおいしい食べ方

道の駅や農家の直売所などでは、個性的で珍しい野菜に出合うことができます。これらの多くは、 海外原産の野菜や日本の伝統野菜。でも食べ方や保存方法が分からない人は、多いのではないでしょうか。今回は、このような野菜の特性やオススメの食べ方をお伝えします。



話題になっている珍しい野菜たちのそれぞれの特性

珍しい野菜たちの特性と保存方法を、海外原産の野菜と日本の伝統野菜に分けて紹介します。




思わず見とれてしまう幾何学的な形のロマネスコは、カリフラワーの一種です。「世界一美しい野菜」と言われることも。ビタミンCやカリウム、葉酸が豊富です。カリフラワーとブロッコリーを足して2で割ったような味ですが、くせがなく食べやすいです。


ラップに包むかビニール袋に入れて、立てた状態で冷蔵庫で保存してください。




ネイティブ・アメリカンが食べていた豆科のアピオス。明治時代、日本にりんごの苗木が持ち込まれたとき、この苗木の土に混じっていたことで広まったと言われています。親指の先ほどの大きさで、カルシウムや鉄分、ビタミンEが豊富です。いものようにホクホクした食感を生かし、皮つきのまま塩ゆでや素揚げにするのがオススメです。


新聞紙に包んだ状態で、冷蔵庫で保存します。すぐに食べない場合は、蒸してから冷凍庫へ。




かぶのような見た目のコールラビですが、実はキャベツの仲間 。葉を巻かない代わりに、茎が丸く肥大しました。日本では、球茎キャベツとも呼ばれています。カリウムやビタミンC、葉酸が豊富です。茎の表皮は、薄い緑色のものと紫色のものがありますが、皮をむくとどちらも白色です。くせがなく、いろいろな料理に使えます。


茎や葉が付いたままだと栄養分を吸い取られるので、切り落としてください。この状態で新聞紙に包んで冷蔵庫で保存します。




こちらもキャベツの仲間のカーボロネロ。葉を巻かない代わりに、葉を大きく広げて育ちます。細長くちりめん状の深緑の葉が特徴です。カリウムやビタミンA、ビタミンKが豊富です。他のケールに比べて柔らかく苦みが少なめで、キャベツのように煮込み料理や炒めものに向いています。


新聞紙に包んで立てた状態で、冷蔵庫で保存します。キャベツのように日持ちはしないので、早めに使いましょう。



<日本の伝統野菜>


小布施丸なすは長野県小布施(おぶせ)町の伝統野菜で、浅い縦溝が入っているのが特徴。カリウムやビタミンA、葉酸が豊富です。果肉が硬く煮崩れしにくいので、煮ものや揚げもの、焼きもの、漬けものいろいろな料理に向いています。


寒さに弱いので、できれば常温保存で。冷蔵庫で保存する場合は、ラップに包んでさらに新聞紙に包んでください。



江戸時代、津軽地方(現在の青森県西部)産の菊型のかぼちゃの種が、鹿ケ谷(ししがだに:現在の京都市左京区)で栽培されたのが、鹿ケ谷かぼちゃの始まり。栽培を繰り返すうちに、真ん中がくびれてひょうたん型になったそうです。カリウムやビタミンA、葉酸が豊富です。始めは緑色ですが、熟すと赤茶色に変わっていきます。日本のかぼちゃ特有の、水分が多くしっとりとした食感です。天ぷらやそぼろあんかけが、オススメです。


かぼちゃは丸ごとの状態で比較的日持ちがするので、涼しい場所で保存してください。カットした場合は日持ちはしません。種とワタをスプーンで取り出してから、切り口を空気に触れないようにラップをかけて冷蔵庫に入れて、早めに使いましょう。



かつお菜は高菜の仲間で、福岡県博多地方で古くから栽培されました。縮んでいる葉が特徴。「勝男菜」とも呼ばれ、縁起もの野菜として博多地方のお正月のお雑煮には欠かせません。カルシウムやビタミンCだけでなくアミノ酸も多く含むため、かつお節に負けないくらいのうま味を含みます。


水で湿らせた新聞紙に包んで、冷蔵庫で立てて保存します。



大正時代、三浦半島(神奈川県)で作られた地大根と練馬大根が交配して生まれたのが三浦大根。長らく主流の大根として扱われていましたが、昭和50年代に栽培が容易で小ぶりの青首大根が出回り生産量が減少。しかし現在でも、料亭などで重宝されて根強い人気があります。根と葉にはカリウムやビタミンA、葉には葉酸が多く含まれています。おでんによく使われていたので、煮ものに最適です。


葉が根の栄養分を吸い取るので、切り落とします。葉と根をそれぞれ新聞紙に包んで、冷蔵庫で保存します。



新種の野菜たちのオススメの食べ方    


珍しい野菜の特性や保存方法が分かったところで、オススメのレシピを紹介します。



【ロマネスコのオーブン焼き】


材料(2人分)

・ロマネスコ 1株(500g)

・厚切りベーコン 50g

・卵 1個

・塩 小さじ1/2

・粉チーズ 大さじ1

・オリーブオイル 小さじ2


手順

①ロマネスコを洗って房を一口大に切る。下から包丁を入れると形が崩れにくい

②厚切りベーコンを一口大に切る

③耐熱容器の底と側面に、オリーブオイル小さじ1を塗る

④鍋に水と塩を入れ、沸騰したらロマネスコを入れて、1分半塩ゆでにする。ざるに上げげて水気を切る

⑤耐熱容器にロマネスコを入れて、ベーコンをロマネスコの間に立てて入れる

⑥オリーブオイル小さじ1と粉チーズを、全体に回しかける

⑦真ん中にくぼみを作り、割った卵をのせる

⑧オーブンで約10分、焼き色がつくまで焼く



【コールラビのイタリアンソテー】


材料(2人分)

・コールラビ 1個(約400g)

・にんにく 1片

・塩 小さじ1/4

・オリーブオイル 小さじ2


手順

①コールラビを洗い上下を切り落とし、繊維の層が残らないように皮を厚めにむく

②コールラビを厚さ1.5mmに半月切りにする

③にんにくを洗い幅2~3mmに切る

④フライパンにオリーブオイルを入れ、にんにくをきつね色になるまで焼いて取り出す

⑤④のフライパンにコールラビを入れて塩をふり、にんにくを焼いたオリーブオイルで焼色が付くまで焼く

⑥皿にコールラビとにんにくをのせる



【小布施丸なすのお焼き】


材料(5個分)

■お焼きの皮

・中力粉 150g

・サラダ油 大さじ1

・塩 小さじ1/2

・水 100ml



■お焼きの具

・小布施丸なす 2個

・みそ 40g

・サラダ油 小さじ1

・大葉 2枚


手順

①中力粉はふるっておく

②丸なすを洗って一口大に切り、水にさらす

③大葉を洗って細かく刻む

④ボウルに中力粉、サラダ油、塩を入れ、水を少しずつ注ぎながらこねる。耳たぶくらいの硬さになったら棒状にまとめ、ふきんをかけて30分以上冷蔵庫で寝かせる

⑤フライパンにサラダ油を入れ、なすとみそを入れて炒める。なすがしんなりしてきたら、フライパンを火から下ろす。冷めたら大葉を入れて混ぜ、5等分にする

⑥お焼きの皮を5等分して丸め、麺棒などで薄く伸ばす。具を5等分にしてそれぞれの皮の上にのせて、具がはみ出ないように包む

⑦フライパンにサラダ油(材料外)小さじ2を入れて、お焼きを並べる。フライパンにふたをして4分、ひっくり返して4分焼く



【かつお菜の炒めもの】


材料(4人分)

・かつお菜 1束(200g)

・油あげ 1枚

・ごま油 小さじ2

・しょうゆ 小さじ1


手順

①かつお菜はさっとゆでで、長さ3cmに切る

②油揚げは油抜きをして、水気を絞ってせん切りにする

③フライパンにごま油を入れて熱し、油揚げ、かつお菜の順に炒める

④火が通ったら、しょうゆで味をつける



新しい野菜の出合い方、食文化にもたらす影響


今回は珍しい野菜を紹介しました。どのような食べ方をするのか、読み始めは疑問に思った人も多いのではないでしょうか。でも保存方法や調理方法も難しいものではなく、普段の食卓に並べられそうなものが多いですね。


これらの野菜は、自然食品やオーガニックな食品を扱うスーパーマーケットや食材宅配サービスなどで購入できます。また、道の駅や農家の直売所などにもあるので、旅行や帰省の際など地域限定の野菜を購入して料理するのも楽しそうです。



文 / 松原 夏穂