イベント
まち農ツアー Vol.3
有機農業の里「小川町」でSDGs食育体験ツアーに参加!

<イベントレポート>


小川町は、埼玉県のほぼ真ん中に位置する人口約27,000人の小さな町。絹の道と呼ばれた八王子道や秩父往還などの街道が交じり、その昔は宿場町として栄え今も尚その趣を残している歴史ある町としても有名ですが、有機農業発祥の地としても注目されているんです! そんな有機農業の里とも呼ばれている小川町で開催された「まち農ツアーvol.3~貸切列車で行く小川町食育体験ツアー~」の様子をレポートします。


池袋から東武東上線の貸切列車で小川町へ出発!



第3弾となる今回の「まち農ツアー」では、池袋から小川町までツアー参加者限定の貸切列車で向かいます。東武鉄道が走る東武東上沿線は、始発となる池袋の都会の喧騒を離れ、車窓からはのどかな自然や田園風景が徐々に広がっていきます。約1時間ちょっと電車に揺られながら、車内では小川町賑わい創出課の職員さんによる小川町の魅力紹介、東武鉄道の車掌さんによるクイズ大会や車内アナウンス体験、制服を着ての写真撮影会など特別なプログラムが用意されていました。何より大人気だったのが小川町のマスコットキャラクター「星夢(スタム)ちゃん」の登場。スタムちゃんは、「小川町七夕まつり」のイメージキャラクターとして短冊型に笹の葉や星をあしらったボディがチャームポイント。子どもたちからの「スタムちゃん!スタムちゃん!」の黄色い歓声に、手を振りながら応じていました。少し大きい幅のあるボディだったため、車内での移動はなかなか大変そうでした!おやつタイムとして小川町の人気店「三代目清水屋」のおからドーナツも配布されました。



大人気の小川町のキャラクター「スタムちゃん」

車掌さんによる東武鉄道にまつわるクイズ大会も大好評!

制服を着た写真撮影、車内アナウンス体験も実施しました!



ノスタルジックな風景が広がる小川町に到着!



車窓からの眺めが街の景観から金色のお米畑が広がる景色になってきたところで、小川町に到着。駅員さんからの歓迎を受けて、ここからバスで有機農業を続けて40年の「風の丘ファーム」に向かいます。

そもそも何故小川町が「有機の里」と呼ばれるようになったのかというと、小川町では、1970年代から有機農業が営まれており、有機農業の試みが町の多くの人の共感、信頼を得て広まったからなんだそう。2009年には小川町の下里地区では販米農家の全てが有機農業に転換したというから驚き。さらに、全国の有機農家が占める割合の全国平均は0.47%ながら、小川町は約17%という高い割合を誇っていることから「有機農業の里」と呼ばれるのも納得です。また、小川町では2023年5月に「オーガニックビレッジ宣言」を行い、さらなる有機農業の推進と魅力あるまちづくりを宣言しています。その有機農業の先駆者の一人が、今回収穫体験で訪れる「風の丘ファーム」の田下隆一さんです。



そろそろ収穫時期を迎えて青空に映える黄金色に輝くお米畑



安心・安全な無農薬野菜にこだわる「風の丘ファーム」で収穫体験!



「風の丘ファーム」の田下さん一家が迎えてくれ、風の丘ファームの歴史や有機農業のこだわりについて学んだあと、いざ収穫体験。夏野菜のなすや、オクラ、きゅうりを収穫しながらふと気づいたのが、おが屑のようなものが撒かれていたこと。田下さんに気になって聞いてみると、おがくずのような正体は米ぬか、油かすとのこと。畑を始めた当初は鶏を飼っていたため、鶏の糞を堆肥として使用していたものの、餌にビタミン剤やホルモン剤など科学物質が含まれている可能性があることから、全ての堆肥を植物性に変えたんだそう。田下さんのお話を聞いて、有機栽培には、土、環境への負荷を減らす様々な知恵が詰まっていると感じながら、次の会場「まちのキャンパスUECHU」へ向かいます。



たくさんのナスを見つけて満面の笑み

農薬を使用していないため、葉には虫食いの跡


米ぬかや油かすなどの食品廃棄物も畑の肥料

として土の栄養を高めてくれるんだとか

色鮮やかなバナナピーマン



料理のお姉さん坂本星美さんから学ぶ サステナブルな料理とは!?



そろそろお腹が空き始めてきたところで料理教室の会場「UECHU」へと向かいます。子どもたちにSDGsを意識したサステナブルな料理を教えてくれる先生は、管理栄養士・SDGs料理研究家の坂本星美さん。今回作るのは、夏野菜カレー、ポトフ、ラッシーの3品。先生から、ゴミを出さないように切り方を教えてもらい、ママ、パパに手を添えてもらって真剣な眼差しで野菜をカットしていきます。普段だったらすぐにゴミとして処理してしまいそうな、ナスの下手部分はとうもろこしとマヨネーズを合わせてサラダに。



「まちのキャンパスUECHU」は、旧上野台中学校を活用した施設。コワーキングオフィス、レンタルキッチン、カフェスペースが併設されていました


ゴミを出さないように、丁寧に調理していきます

自分で作ったご飯はおいしいね!



SDGsと食育をテーマにしたトークセッション&クイズ大会!



お腹が満たされた後は、午前中にお伺いした風の丘ファームの田下さん、坂本星美さん、本ツアーの主催農林水産省の高橋正智さんとSDGsをテーマにしたトークセッションが行われました。まずは、SDGsの目標についての質問が飛ぶと、小学生の子どもたちは「はい!」と手を挙げてすぐに答えられていてびっくり。大人より、子どもの方が解決すべき問題を知っていそうな予感です。

今回は12個めのゴール「つくる責任、つかう責任」について坂本星美さんからわかりやすい説明があり、田下さんから農家で生じてしまう食品ロスの問題や、農林水産省が取り組んでいる課題解決の取り組みなどについてのお話を聞くことができました。  食品ロスはゴミの問題だけではなく「食品残渣を処理する際に生じる二酸化炭素により地球の温暖化に影響を与え、輸送する際にも余分なエネルギーを使ってしまうのが一番の問題なんです。」という高橋さん。最後に、それぞれサステナブルな生活を送る上で気にかけておく点について、田下さん、高橋さんからお言葉をいただいて、トークセッションがクローズ。



最後にみんなで記念撮影



池袋から約1時間程度で行ける埼玉県の小川町。70年代から始めた有機栽培の取組が街全体にまで広がり今では「有機の里」としても知られるように。この小川町を舞台に未来につながる農業、食についての体験を通してSDGsの大切さを感じることができた内容の濃いツアーとなりました。また、日本全体で有機農業の取組面積は拡大傾向ではあるものの、消費は低水準。あまり、全国で流通していないために手に取る機会がないというのもあるとは思いますが、まずは自分の住んでいる身近な野菜を使うように意識して地域からサステナブルな生活を始めてみるのもいいかもしれませんね!



by まちなか農業ひろば事務局